成果が出るサイトリニューアルは「目的設定」で決まる!RFP・提案書・ヒアリングシートの書き方

サイトリニューアルで成果が出るかどうかは、デザインや機能の良し悪しよりも、最初の目的設定の質で決まるといっても過言ではありません。目的が曖昧なまま制作会社に依頼すると、提案内容の良し悪しを判断する基準がなく、完成したサイトが自社の課題を何も解決していないという事態になりかねません。またRFPやヒアリングシートの精度が低いと、制作会社から的外れな提案が届き、選定に時間がかかるだけでなく、契約後に認識齟齬が発覚して手戻りが発生するリスクも高まります。
この記事では、成果につながるリニューアルの目的設定の方法から、RFP・提案書・ヒアリングシートの書き方まで、実務で即使えるテンプレートと例文を交えながら詳しく解説していきます。
目次
なぜ「目的設定」がリニューアルの成否を分けるのか
リニューアルを経験した多くの担当者が口を揃えて言うのが、目的設定の重要性です。見た目を新しくしたい、競合がリニューアルしたから自社もやらなければ、といった曖昧な動機でスタートしたプロジェクトは、完成後に成果が出ないケースが非常に多く見られます。なぜ目的設定がそれほど重要なのかを正しく理解しておくことで、プロジェクト全体の方向性が定まります。
目的が曖昧なリニューアルが失敗する理由
目的が曖昧なままリニューアルを進めると、プロジェクトのあらゆる場面で判断基準がなくなります。具体的には以下のような問題が連鎖的に発生します。
| 場面 | 目的が曖昧な場合に起きる問題 |
|---|---|
| 制作会社への依頼 | 何を重視した提案をしてほしいかが伝わらず、的外れな提案が届く |
| デザインの方向性 | 好き嫌いの議論になり、社内で意見がまとまらない |
| コンテンツの設計 | 何を伝えるべきかが定まらず、情報の優先順位がつけられない |
| 効果測定 | 何をもって成功とするかの基準がないため、成果を評価できない |
| 公開後の改善 | 何を改善すればいいかわからず、PDCAが回せない |
目的が明確であれば、これらの判断場面でブレが生じにくくなります。デザインの方向性・コンテンツの設計・制作会社への指示・効果測定の基準まで、すべてが目的から逆算して決まるため、プロジェクト全体の一貫性が保たれます。
目的設定で変わるサイトの方向性と成果
目的によってサイトの設計・コンテンツ・導線が大きく変わります。以下の例を参考に、自社のリニューアル目的がサイトの方向性にどう影響するかを確認してください。
| 目的 | サイトの方向性 | 重視すべき要素 |
|---|---|---|
| 問い合わせを増やしたい | コンバージョン重視の設計 | CTAの配置・フォームの最適化・導線設計 |
| ブランドイメージを刷新したい | ビジュアル重視の設計 | デザインの質・写真・コピーライティング |
| 採用応募を増やしたい | 採用ターゲットへの訴求 | 社員インタビュー・職場環境の訴求・応募導線 |
| SEOで集客を強化したい | コンテンツ重視の設計 | キーワード設計・記事の質・サイト構造 |
| 運用を効率化したい | CMS重視の設計 | 更新のしやすさ・管理画面の使いやすさ |
同じリニューアルでも目的が違えば、デザインの方向性もコンテンツの優先順位も導線設計もまったく異なるものになります。目的を明確にしないまま進めると、デザインは良くなったのに問い合わせが増えないといった片手落ちの結果になりやすいため、リニューアルの目的を最初に定めることをプロジェクトの絶対条件として位置づけてください。
リニューアル目的の正しい設定方法
目的設定の重要性を理解したところで、次は具体的にどのように目的を設定するかを解説します。目的設定で重要なのは、感覚的な言葉で終わらせずに数値目標まで落とし込むことです。数値目標があることで、リニューアル後の成果を客観的に評価できるようになります。
目的をKGI・KPIに落とし込む手順
目的をKGI・KPIに落とし込む手順は以下のとおりです。まず現状のデータをGA4やSearch Consoleで確認し、課題が数値としてどの程度深刻かを把握した上で目標値を設定します。
現状のデータを把握したら、リニューアルで達成したいKGI(最終目標)を設定し、そのKGIを達成するために改善すべき中間指標をKPIとして定義します。たとえば問い合わせ数を増やすことがKGIであれば、CVR・セッション数・直帰率といった指標がKPIの候補になります。
KGIとKPIは現状値から見て現実的な目標値を設定することが重要です。根拠のない高すぎる目標は社内の期待値を誤って引き上げてしまい、リニューアル後に成果が出ていても失敗と評価されてしまうリスクがあります。過去のデータや業界平均値を参考にしながら、達成可能な範囲で目標を設定してください。
よくある目的設定の失敗パターン
目的設定でよくある失敗パターンを把握しておくことで、同じ失敗をせずに済みます。
最もよくある失敗は、目的が複数あり優先順位が定まっていないケースです。問い合わせを増やしたい・採用応募も増やしたい・SEOも強化したい・ブランドイメージも刷新したいといった目的を同時に追いかけようとすると、サイトの方向性が定まらず中途半端な仕上がりになりがちです。目的は最大でも2〜3つに絞り、優先順位を明確にした上でプロジェクトを進めることが重要です。
次によくある失敗が、目的を言語化しているが数値目標がないケースです。より良いサイトにしたい・使いやすくしたいといった目的は方向性を示すものの、達成できたかどうかを判断する基準がありません。必ず数値目標とセットで設定するようにしてください。
また、目的が会社全体で共有されていないケースも失敗につながりやすいパターンです。担当者だけが目的を把握していても、経営層や他部署の担当者が別の期待を持っていると、制作途中で方向性の変更を求められ、手戻りが発生する原因になります。目的設定の段階で関係者全員の合意を取ることが、プロジェクトをスムーズに進める上での重要な前提条件です。
RFP(提案依頼書)の書き方と必須項目
目的設定が完了したら、制作会社への依頼に向けてRFP(Request For Proposal/提案依頼書)を作成します。RFPは複数の制作会社に同じ条件で提案・見積もりを依頼するための文書であり、精度の高いRFPを作成することで制作会社からの提案の質が上がり、選定の精度も高まります。
RFPとは何か・なぜ必要か
RFPとは自社のリニューアル要件・目的・予算・スケジュールをまとめた提案依頼書です。RFPを用意せずに制作会社へ依頼すると、各社がバラバラな前提で提案してくるため、金額や提案内容の比較が困難になります。またRFPがないと制作会社との認識齟齬が生じやすく、契約後に追加費用や手戻りが発生するリスクが高まります。
RFPを作成することで得られるメリットは以下のとおりです。複数社から条件を揃えた見積もりを取れること、自社の要件を整理する機会になること、制作会社との認識齟齬を防げること、そして提案内容を公平に比較評価できることが挙げられます。
RFPに書くべき10の項目
RFPに盛り込むべき項目は以下のとおりです。すべての項目を完璧に埋める必要はありませんが、目的・ターゲット・予算・スケジュールの4点は必ず明記してください。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 会社概要 | 業種・事業内容・ターゲット顧客・競合他社 |
| リニューアルの背景・目的 | なぜリニューアルするのか・解決したい課題・KGI・KPI |
| ターゲットユーザー | サイトを利用する主なユーザー像・ペルソナ |
| リニューアルの範囲 | 全面リニューアルか部分リニューアルか・対象ページ数 |
| 必要な機能・ページ | 要件定義で洗い出した機能・ページの一覧 |
| デザインの方向性 | 参考サイト・ブランドガイドライン・避けたいデザイン |
| 技術要件 | 使用するCMS・サーバー環境・既存システムとの連携 |
| 予算の目安 | 概算予算の上限・内訳の希望 |
| スケジュール | 公開希望日・各フェーズの期限 |
| 提案の形式 | 提案書のフォーマット・提出期限・プレゼンの有無 |
RFPテンプレートの活用方法
RFPを初めて作成する場合は、インターネットで公開されているテンプレートを活用することをおすすめします。テンプレートをそのまま使うのではなく、自社の状況に合わせて項目を追加・削除しながらカスタマイズするようにしましょう。
RFPを作成する際に意識すべきポイントが3つあります。1つ目は現状の課題をデータで示すことです。GA4やSearch Consoleのデータをもとに、アクセス数・CVR・検索順位などの現状値を記載することで、制作会社が課題を正確に把握しやすくなります。2つ目は参考サイトを複数添付することです。デザインの方向性を言葉で伝えるには限界があるため、自社が目指すイメージに近いサイトのURLを3〜5件程度添付しておくと、制作会社との認識齟齬を大幅に減らすことができます。3つ目は選定基準を明示することです。何を重視して制作会社を選ぶかを明記しておくことで、制作会社側も自社の強みを前面に出した提案をしやすくなります。
提案書の読み方・評価ポイント
RFPを送付して制作会社から提案書が届いたら、内容を正しく読み解いて評価する必要があります。提案書の読み方を知らないまま評価すると、見た目が華やかな提案に引きずられて本質的な部分を見落としたり、金額だけで判断して後悔するといった失敗につながります。提案書を正しく評価するための視点を身につけておくことが重要です。
制作会社の提案書で確認すべきポイント
提案書を評価する際は以下のポイントを軸に確認してください。デザインのビジュアルよりも、自社の課題をどれだけ正確に理解した上で提案しているかを最も重視してください。
自社の課題への理解度はRFPに記載した内容をどれだけ深く読み込んでいるかに表れます。課題の本質を捉えた上で解決策を提案しているか、それとも表面的な要件だけに応えているかを見極めることが重要です。課題理解が浅い提案は、制作が始まってから認識齟齬が発生するリスクが高いと判断してください。
提案の具体性も重要な評価ポイントです。抽象的なキャッチコピーや美しいビジュアルだけで構成された提案書は、実際に制作が始まったときに方向性がブレやすい傾向にあります。サイト構成の案・デザインのコンセプト・SEO対策の方針・スケジュールの詳細など、具体的な内容が盛り込まれているかを確認してください。
費用の内訳も必ず確認すべき項目です。合計金額だけが提示されている見積もりは、後から追加費用が発生するリスクがあります。デザイン費・コーディング費・CMS構築費・SEO対策費・コンテンツ制作費などが項目ごとに明記されているかを確認し、不明な項目があれば遠慮なく質問するようにしましょう。
金額だけで判断しないための比較軸
複数社の提案書を比較する際は、金額だけでなく以下の比較軸を用いて総合的に評価することをおすすめします。
| 比較軸 | 評価の観点 |
|---|---|
| 課題理解の深さ | 自社の課題をどれだけ正確に把握した提案か |
| 提案の具体性 | サイト構成・デザイン・SEO・スケジュールが具体的か |
| 実績の類似性 | 自社と同じ業種・規模の制作実績があるか |
| コミュニケーションの質 | 提案前の質問対応・提案書の丁寧さから担当者の質を判断する |
| 費用の透明性 | 見積もりの内訳が明確で追加費用の発生リスクが低いか |
| 公開後のサポート | 運用保守・修正対応・効果測定のサポート内容が明確か |
最安値の制作会社を選ぶことが必ずしも最良の判断とは限りません。安い費用で契約したものの、コミュニケーションに問題があったり、SEO対策が不十分だったりして、結果的に追加費用や手戻りが発生してかえって高くついたというケースは珍しくありません。金額は比較軸のひとつに過ぎないと割り切った上で、長期的に信頼できるパートナーとして付き合える会社かどうかを最重要の判断基準にしてください。
ヒアリングシートの作り方と活用法
リニューアルプロジェクトを進める上で、社内ヒアリングと制作会社へのヒアリングの両方を効率的に行うためにヒアリングシートを活用することをおすすめします。ヒアリングシートを事前に用意しておくことで、聞き漏れを防ぎ、収集した情報を整理しやすくなります。
また複数の関係者からヒアリングする際に同じ項目で情報を収集できるため、意見の比較や優先順位の判断がしやすくなります。
社内ヒアリングシートの項目例
社内の関係者からリニューアルに関する意見を収集するためのヒアリングシートです。営業・マーケティング・経営層・カスタマーサポートなど、部署ごとに同じシートを使ってヒアリングすることで、現場の声を網羅的に収集することができます。
| カテゴリ | ヒアリング項目 |
|---|---|
| 現状の課題 | 現在のサイトで使いにくいと感じる点はどこか |
| 現状の課題 | 顧客・見込み客からサイトに関してどんな声を聞いているか |
| 現状の課題 | 営業・業務でサイトを活用している場面はあるか |
| リニューアルへの期待 | リニューアルで最も改善してほしい点はどこか |
| リニューアルへの期待 | リニューアル後にサイトでどんな成果を期待しているか |
| コンテンツ | 現在のサイトに不足していると感じる情報・コンテンツはあるか |
| デザイン | 競合他社のサイトで参考にしたいものはあるか |
| 運用 | リニューアル後に自社で更新したいページ・コンテンツはあるか |
| 優先順位 | リニューアルで最優先で対応すべきと思う課題は何か |
ヒアリングは口頭で行った後にシートに記録する形でも、事前にシートを配布して記入してもらう形でも構いません。経営層へのヒアリングは時間を取ってもらいにくいケースが多いため、シートを事前に送付して記入してもらった上で、不明点だけを個別に確認する方法が効率的です。
制作会社へのヒアリングシートの項目例
制作会社から提案・見積もりを受け取った後、選定の判断材料を集めるためのヒアリングシートです。複数社に同じ項目でヒアリングすることで、各社の強み・弱みを公平に比較することができます。
| カテゴリ | ヒアリング項目 |
|---|---|
| 実績・体制 | 自社と同じ業種・規模のサイト制作実績を教えてほしい |
| 実績・体制 | 担当するディレクター・デザイナー・エンジニアの体制を教えてほしい |
| 進め方 | プロジェクトの進め方・コミュニケーション方法を教えてほしい |
| SEO・マーケティング | SEO対策・リダイレクト設定はスコープに含まれているか |
| 費用 | 見積もりの各項目の内訳と、追加費用が発生するケースを教えてほしい |
| スケジュール | 希望する公開日に対して現実的なスケジュールを教えてほしい |
| 修正対応 | デザイン・コーディングの修正回数の上限はあるか |
| 公開後のサポート | 公開後の運用保守・修正対応の内容と費用を教えてほしい |
| 著作権 | 制作物の著作権の帰属はどうなるか |
| 実績サイトの確認 | 過去に制作した自社と近い規模・業種のサイトのURLを教えてほしい |
制作会社へのヒアリングは提案後のミーティングの場で行うことが多いですが、事前にシートを送付しておくと当日のやり取りがスムーズになります。特に費用の内訳・修正回数の上限・著作権の帰属は、契約前に必ず確認しておくべき項目であるため、ヒアリングシートに必ず含めておくといいでしょう。
RFP・提案書・ヒアリングシートのよくある質問
RFPは自社で作るべきか制作会社に依頼すべきか
RFPは基本的に自社で作成することをおすすめします。RFPを作成するプロセス自体が、自社のリニューアル目的・課題・要件を整理する機会になるからです。制作会社にRFPの作成を依頼すると、その制作会社の得意な方向性に沿った内容になりやすく、他社との公平な比較が難しくなるリスクがあります。
ただし初めてリニューアルを担当する場合は、RFPのフォーマットや書き方がわからずに手が止まってしまうケースも多いと思います。その場合は市販のテンプレートや公開されているサンプルを参考にしながら作成するか、信頼できるコンサルタントや支援機関に相談することをおすすめします。RFPの完成度が多少低くても、目的・ターゲット・予算・スケジュールの4点が明記されていれば制作会社は提案できます。完璧を目指すよりも、まず自社の言葉でリニューアルの目的と課題を書き出すことから始めてください。
ヒアリングなしで進める制作会社は危ない?
ヒアリングをほとんど行わずに提案・見積もりを出してくる制作会社には注意が必要です。自社の業種・ターゲット・課題・運用体制などをヒアリングせずに作られた提案は、RFPに記載された情報だけをもとにした表面的なものになりやすく、実際の課題解決につながらないケースが多いです。
一方で最初のヒアリングを丁寧に行い、課題の背景まで深く聞いてくれる制作会社は、プロジェクト全体を通じて良好なコミュニケーションが取れる可能性が高いといえます。ヒアリングの質はその制作会社のプロジェクト進行力を測る重要な指標のひとつです。提案前のヒアリングが丁寧かどうかを、制作会社選定の判断基準のひとつとして活用してください。
まとめ|目的設定とドキュメント整備がリニューアル成功の土台になる
サイトリニューアルの成否は、デザインや機能の良し悪しよりも、最初の目的設定の質と制作会社への情報共有の精度で決まります。目的が明確であれば、RFPの内容も具体的になり、制作会社からの提案の質も上がり、完成したサイトが自社の課題を解決できる可能性が高まります。
RFPは制作会社への依頼書であると同時に、自社のリニューアル要件を整理するための思考ツールでもあります。完璧に仕上げる必要はありませんが、目的・ターゲット・予算・スケジュールの4点を明記した上で、参考サイトと現状データを添付することで、制作会社からの提案の精度が大幅に上がります。
また提案書の評価は金額だけで判断するのではなく、自社の課題への理解度・提案の具体性・コミュニケーションの質を総合的に評価することが重要です。ヒアリングシートを活用して社内の意見を網羅的に収集し、制作会社への確認事項を漏れなく把握しておくことで、契約後の認識齟齬や手戻りを防ぐことができます。
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